オールドルーキー内で登場した絵本「たぬき社長ときつね専務」が気になりすぎて創作しちゃいました。
ドラマ内で公開された1ページから想像し、制作しています。
前編を見ていない方は、前編からどうぞ。

失意のきつね元専務 《たぬき社長ときつね専務》

きつねはかいしゃをくびになり、ねておきてたべてねてのせいかつをつづけていた。
とつぜんかいこになったことがショックで、なにもするきがおきなかった。
「はぁ…」とためいきをつくことがおおくなり、いえからでるのはしょくざいをかうときだけ。
ひさしぶりに、しょくざいをかいにそとにでると、ひとごみのなかにひときわきらめく時計のもちぬしをみつけた。
ひつじ社長だ。
きつねはおどろいたが、あのひのことをきちんとあやまれていなかったので、ひつじ社長にこえをかけた。
きつね「ひつじ社長。せんじつはたいへんもうしわけございませんでした。やけどのぐあいはいかがですか?」
ひつじ社長はたいそうおどろいていた。そして、かおをしかめて、けげんそうにいった。
ひつじ「きみはきつねせんむか?いつもとちがうふくそうだから、わからなかったよ。
きみとはひさしぶりにあうけど、やけどってなんのことだい?」
きつね「え!? このあいだ、うちにこられておちゃがかかったときにできたやけどです!おぼえていませんか?」
ひつじ「きみのところなんていってないよ。だれかとまちがえているんじゃないかい?
おちゃなんてかかったら、とけいがこわれてしまうから、わすれるわけないよ」
きつねはこんらんしていた。
たしかにあのとき、ひつじ社長はかいしゃにきていたのに、おぼえていないというし、うでをみてもやけどはしていなかった。
じゃあ、あのひつじ社長はいったいだれなんだ?
そのとき、きつねはあることをおもいだした。
あのクビになるときのことを。
あのとき、たぬき社長のうでにまいていたほうたいのことを。
あのひつじ社長はたぬきのへんそうだったのだ。
じぶんたちをやめさせるために、たぬき社長がひとしばいうったのだ。
きつねせんのむねに、はげしいいかりがこみあげてきた。
きつね「ぜったいにゆるさない!」
《たぬき社長ときつね専務》

たぬき「ぴゅ〜ひゃらり〜」
くちぶえをふきながらあるいているのは、たぬき社長だ。
たぬき「きつねがいなくなって、ゴルフからよびだされることもなくなった。しゃいんがへって、きゅうりょうがへったから、うりあげもあがってる。うまくいったうまくいった。ほんとう、おれはてんさいよぉ」
じょうきげんのたぬき社長がかいしゃのドアをあけて、「おはよう!」とあいさつする。
しかし、かいしゃにはだれもいなく、あいさつはかえってこない。
たぬき「あれ? みんなどうした? いつもならみんなきているはずなのに??」
たぬき社長はくびをかしげ、いろんなへやをみにいくがだれもいない。どういうことだ?
たぬき社長はしゃいんにでんわをかけてみることにした。
だけど、みんなにでんわするが、だれもでなかった。
おかしいなとおもっていると、でんわがなった。
たぬき「もしもし、うしくん!? あ、すみません。はやしぶっさんのへびさんですか。はいはい、わかりました。またごれんらくいたします」
しゃいんからのでんわかとおもったが、べつのかいしゃからのしごとのでんわだった。
そのいっぽんのでんわから、いっせいにでんわがなんぼんもなりひびいた。
とてもひとりではすべてのでんわにでることもできず、たぬき社長はこまりはて、うさぎのところへでんわした。
たぬき「もしもし、うさぎくん。すまないが、かいしゃにきて、でんわにでてくれないか?」
うさぎ「たぬき社長? でもわたしはもうかいしゃをくびになっていますし、もうべつのかいしゃではたらいているので」
たぬき「そこをなんとかおねがい! おれひとりじゃどうしようもないんだ!」
うさぎ「わかりました。いまからいそいでいきますね」
たぬき社長はほっとむねをなでおろした。これでとりあえずだいじょうぶだ。
それにしても、しゃいんのやつら、むだんでやすんでゆるせない!またなんにんかやめさせてやろう、とたぬき社長が考えていると、かいしゃのドアがひらいた。
たぬき「う、うさぎくん!? な、なんて格好してるんだ!」
そこにはみずぎのようなセクシーなドレスをきたうさぎがいた。
《たぬき社長ときつね専務》

うさぎ「あら? たぬき社長がいったから、しごとばからいそいでかけつけたんですよ」
たぬき「そ、それはそうだけど。そんなふくで、し、しごとなんてできるのかい?」
うさぎはたぬき社長にちかづき、いった。
うさぎ「しつれいですね。しごとにふくはかんけいないでしょ。どんなふくでもわたしはちゃんとしごとをしますよ」
たぬき社長のめがとろんとして、うさぎからめがはなせない。
うさぎからはいい匂いもし、たぬき社長はうさぎにいっぽにほとちかづいていった。
???「それいじょうちかづいて、なにをするきなの?」
ひろいかいしゃないにトゲのようにするどいこえがひびいた。
たぬき「た、たぬこ!? どうしてここに!」
そこにはたぬき社長のおくさんのたぬこさんが、かみがさかだつほどのいかりをおさえてたっていた。
たぬこ「あなたがおべんとうを忘れたからわざわざもってきてあげたのに、わかいうさぎとふたりきりで、それにこんなかっこうまでさせて!はじをしりなさい」
たぬき「ま、まってくれ。ちがうんだ。おれがいったことじゃないんだ。きょうはしゃいんがだれもいなくてしかたなく」
たぬこ「しかたなくですって!? わたしにかくれてしかたがなく、なにをするきだったの!もうあなたとはりこんよ!!」
たぬき「そんな…。まってくれ、たぬこ!」
たぬこさんはたぬき社長をむしして、出ていってしまいました。
のこされたたぬき社長は、うさぎのかたをつよいにぎりしめて言いました。
たぬき「おまえのせいだ! おまえがこんなかっこうしてくるから、たぬこがごかいしたんだ!ゆるさないぞ!」
そのとき、パシャっというおとがしました。
たぬき社長はおどろいておとのほうこうをみると、そこにはてんじょうのしょうめいにしっぽをまきつけたさるがいました。
てにはカメラをもっており、もう1度パシャッとたぬき専務とうさぎを撮りました。
たぬき「さる!?なんでここに!ああ、それよりそのカメラをわたせ!!」
たぬき社長はさるからカメラをうばおうとしますが、さるはきようにしょうめいをわたりあるき、つかまえられません。
それでもたぬき社長はあきらめずにはしりまわりますが、うさぎのあしにひっかかり、こけてしまいます。
たぬき「いてててて。なんでおれがこんなことに!くそー、おまえたち、ぜったいにゆるさないぞ!!」
???「ゆるさないのは、ぼくたちのセリフだ」
さるでもない、うさぎでもない、ひくいおとこのこえがかいしゃないにひびきわたりました。
たぬき社長がおそるおそるかおをあげると、そこにはきつね専務がいました。
たぬき「き、きつね!? なんでおまえがここに!」
きつね「なんでだって? そんなのあんたがひつじ社長に化けて、ぼくたちをかいしゃからおいだしたからにきまってるだろう!」
たぬき社長は顔が青ざめ、「ち、ちがうんだ!」といいわけをしています。
きつね「いいわけなんてききたくない。このしゃしんをたぬこさんにみせられたくなければ、ぼくたちをかいしゃにもどせ!」
たぬき「たぬこに? あ、ということはさっきのはおまえがばけたんだな! くそ〜、だますなんてなんてひどいことするんだ!!」
たぬき社長はさけんでいますが、きつねとさるとうさぎはなにもいわず、じっとたぬき社長をみつめています。
たぬき「わかった。さんにんとも、クビをとりけす。だから、そのしゃしんをくれ!」
たぬき社長はさるにてをだすが、きつねがそれをさえぎります。
きつね「ほかにもやくそくしてください。かいしゃのおかねをむだづかいしないこと。
しごとちゅうにゴルフにいかないこと。うさぎとさるのきゅうりょうをあげること。
そして、ひつじ社長に化けてぼくたちをだましたことをみんなの前ではなしてください」
たぬき「そ、それはちょっと…」
3人はなにもいわずに、たぬき社長をおいてでていこうとします。
たぬき「わ、わかった、こうさんだ!かいしゃのおかねをむだづかいしません。
しごとちゅうにゴルフにいきません。うさぎとさるのきゅうりょうをあげます!
みんなをだましたことをあやまります。もうだましたりしません。だから、ゆるしてぇ〜〜!!」
それから… 《たぬき社長ときつね専務》

あのあと、たぬき社長はしゃいんみんなのまえできつねたちをばかしたことをうちあけました。
おかげできつね専務、さる、うさぎはもとどおり、かいしゃではたらけることになりました。
たぬき社長もこれにこりたのか、ゴルフにはいかずにかいしゃのためにはたらいています。
おかげで売り上げもまえよりよくなり、みんなのきゅうりょうもすこしですがおおくなりました。
きつねとさるとうさぎは、あれからたまに3にんでごはんをたべにいきます。
はなしをするのはきまってあのときのはなしです。
そして、3にんでいっぱいしゃべって、わらって、ぐっすりねむってしまいます。
いっしょうけんめいはたらいたあとは、ほんとうにきもちよくねむれて、きつねはほんとうにしあわせです。
〜おしまい〜
